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ワース 命の値段のhymasuminのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
3.8
アメリカの同時多発テロ9.11の被害者と遺族たちに支払う補償金をどう分配するかを無償で引き受けた弁護士の、テロ発生後から補償金手続き期日までの話

そのときの社会的地位や年収で命の値段は違うのかを考えさせられるテーマ。
確かに年収何十億の人とぎりぎりの生活をしている人、ほぼ定年の人とまだ何十年も仕事ができる人、入籍していない事実婚の人は家族として受け取りの対象になるのか、同性婚を認めている州といない州ではどうなのか、、、

遺族の話を聴くシーンでは、俳優だけでなく実際の被害者の家族も出演しているという。映画は事件後何年か経ってからの製作で、遺族も故人がどんな人だったのかを映画に載せて伝えたかったんだろうな。
一人ひとりの人生とその家族がどのように事件の日を迎えたか、被害者はどんなひとだったのか、さまざまな人生を知らされる。
 
ファインバーグは7000人もの命の値段を独自の計算式で公平さにいくらかの修正を加えて決めた。上限のある基金の分配。簡単じゃなかったはず。一見事務的に決めてるように見える補償金額だけど、いのちの値段は人種も職業も性差も年齢も関係ないし、彼は全米を渡って遺族一人ひとりの話を聴いて歩くなど、遺族の悲しみと今も続いている喪失感を受け止めていた。
無償の仕事、何が彼の気持ちをそこまでさせたんだろう。

当時のブッシュ大統領がフィッシュバーグに補償金プログラムの特別管理人を依頼した電話があまりにビジネスライクで、9.11の背景にブッシュ大統領がなんだかんだと言われていたのを思い出して、そこ、なんか、やりきれない不快感を感じました。
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