okappa

ワース 命の値段のokappaのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
4.0
9.11関連は、遺族・レスキュー・犯人・大統領・その後のアメリカの戦争など様々な面のドキュメンタリー鑑賞、関連記事など目を通してきました。なのに本作主題の補償基金プログラムについて知りませんでした。なんて節穴。

補償金の金額を決めるために、犠牲者負傷者に条件に応じて金額を割り振る、その決定権をもつ責任者となったケネス・ファインバーグが主人公の実話ベースのお話。「人の命の値段」を決めるような仕事は、冷酷なことに見える。その為の条件となる数式を作り出し人々を当てはめるファインバーグも酷い人に見えるかも知れない。

けれど、彼はそもそも憎まれる仕事と最初から認識していたし、人々の助けになりたいと思って無償で引き受けている。大切な人や身体の一部など失ったものはどうやっても戻せない。裁判が長引けはずっと怒りや悲しみを常に持ったままになってしまうし、結果が望むものでなければその後救いはないかも知れない。ならばせめて速やかに、今後のためになるお金だけでも遺族や負傷者など被害者へ行き渡らせて、区切りの一つとなって欲しいという意識なのだと理解しました。

全員に一律大金を渡せたり一人一人に臨機応変に対応できたりすれば良いけれど、財源は無限ではない。個人的には、そのために収入や家族構成など条件を決めて金額を算出するというのは理解ができました。人員も無限ではないし、どんなに厳しくても一線引くしかないと思う。これもまた間違いではないはず。

ファインバーグも遺族も被害者も誰も、悪者ではない。最終的に全てのの要望に応えることは難しいが、それでも話を聞いてできる限り自分の権限でできることしようと、遺族・被害者側に寄り添った彼と事務所のスタッフたちは素晴らしかったです。とはいえ、法律のプロがカウンセラーの役割も担うというのはかなり負担が多過ぎやしないかとも感じました。

どちら側の気持ちも、計り知れません。報復攻撃を行い、いまだ各地の争いごとに手を出しているので、今後も悲劇は起こり得ます。それは、いままさに戦争を仕掛けた愚かな国もありますし、アメリカだけではないですけれど、とにかく犠牲になるのは善良な争いを望んでなんかいない一般の人々がほとんど。やるせない。

ファインバーグさんの経歴ちょこっと調べてみましたが、担当案件がかなり大きなものばかりでもはやよくわかりませんでした。
okappa

okappa