緑青

ワース 命の値段の緑青のレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
3.7
「正しき」第三者であること、「正しき」当事者であること、社会として正しくあることはどうしてこんなに難しい。
「当事者になる/であること」は、突然巨大なパワーを自分の意思に関係なくどうしようもなくぶち与えられることに似ているのだろうなと思った。この映画におけるスタンリー・トゥッチは、財力も権力も抜きに、そのパワーを的確に出力して人間を動かした奇跡的な例だった。ふつうはあんな巨大なパワーをあそこまで理性的に取り扱うことはできないだろうと思う。あれは彼の人生すべてを通した(結果的な)訓練の賜物であって、どんな場面でもそれを誰かが他者に求めることはあってはならないが、偶然が重なって、その巨大なパワーが、それを取り扱える(あらゆる意味の)能力を持つ人のもとに雷のように落ちて、「誰ががやらなくてはならない」本当はあってはならなかった闘いをその人が担って、世の中が動くときがあるのだろう。
作品として安定していて、観やすく、考えることの多い映画です。
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