はる

ワース 命の値段のはるのネタバレレビュー・内容・結末

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

9.11被害者補償プログラムの補償額を決める弁護士たちの話。

テロからすぐに補償と詳細が公表されるなんてすごいなと思ったら、政治家と航空会社の目論見だったとは。

補償額を公式に当てはめて伝えられるというのは遺族や被害者にとっては許せないことだと思う。
3日以内に症状が出た場合しか認めない、同性婚は州法によって認められないなど、おかしな点も多々あった。

1人ひとりと面談して涙を流す職員がいる一方、あくまで客観的で感情に流されるなというケン。
その後、彼が偶然遺族と面談をすることになったことで考え方が変わり、人々に寄り添おうとする変化がよく描かれていた。

私も看護師なので倫理について考える機会は多々ありました。答えのないものを模索するのは苦しく、スッキリすることも永遠にないです。

彼は最初こそルールを重視するために冷徹にみえますが、無報酬でこの重責を引き受けた時点でやはり奉仕の心があったのかと思います。

2011年や2019年にも再開されて長期で補償が継続されているとのこと。アスベストなどで後遺症がある方、精神を患ってしまった方、時間が経って亡くなった方にも補償が行き届いているのはこの方たちの尽力あってのものと思いました。

もし日本なら、特別管理人のシステムもないだろうし、政府が詳細を決定するのは遅いし、補償金もゆくゆく復興支援金のように税金等からも徴収されるだろうし、絶望的で悲しくなりました。
はる

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