「命は等価である」という当たり前の倫理観と、「命に値段をつける」という補償金のせめぎ合い。絶対に相容れない両者の終わりが見えない対峙がヒリヒリしました。
計算式や規定にのっとって一律に管理することで不利益を被る人々や、届くべきところにお金が届かないような状況にもどかしさを感じながら、こういうのは世の中に溢れているよなと憂鬱な気分にさせられました。
一方でそうした枠組みの問題とは別に、ひとりひとりとの対話で見落としてはならない人間の価値が見えてくるところに感動しました。
9.11をこうした視点で描くのも新鮮でした。
人の命を数字で管理することのあさましさに怒りを覚えながら、ニュースでも日常的に目にする「命の数字」ひとつひとつに家族があり、友があり、その先も続くはずだった未来があったことを忘れたくないと思います。