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世界は僕らに気づかないのryoのレビュー・感想・評価

世界は僕らに気づかない(2022年製作の映画)
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映画的に孤独さを強調しすぎない。
摩擦や対立も決してドラマチックではない。
だからこそ生活のリアルさを感じた。
浮いているだけではなく、現実の中で他者に配慮しながら生きている感じ。

そして映画的には主観的に撮っているというより、主人公たちを他者として映している感じがした。
だからこそ、何か映画的にグッと入り込む世界観が深くないような主人公の痛みや対立がグッとこない感覚で観ていた。
作家性の強い作品というより、そうやって社会や他者を優しく一方で冷徹に映し出そうとしているのかなと思う。こういう映画もアリなんだなと思った。

また国籍やセクシャリティについても、こういう空気感の社会を、まだ映画内だけでかもしれないが、日本を舞台に描けることも素晴らしいと思った。

カメラのカメラ感を感じる手持ちのブレや、画面いっぱいに映る表情が印象的だった。
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