りょう

ちょっと思い出しただけのりょうのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.2
映画の内容は「ちょっと思い出しただけ」以上でも以下でもない。誰にでもあるちょっと思い出しただけのことをただただ遡っていく。

このタイトル好きだな。ちょっとって言葉を使う事で、ちょっとじゃないってことなんだよな。でももうあの頃に戻りたいとかそういうことを言ってるわけじゃなくて。そういうニュアンスが表現されてる感じがする。

この映画観た人はちょっとではなく、がっつりあの人とあの時この時のこと思い出したと思う。あの時こう言ってたら変わってたかな、こんな出来事がなかったら今違う人生過ごしてたかな、とか。今、どんな人生過ごしてるのかな。とか。

あんなにドラマティックに付き合い始めて、あんなに仲良く暮らして、将来のことまで考えていた相手が、あそこまで会話が成り立たなくなる寂しさ。もう、めちゃめちゃあるある。

好きなシーンたくさんあったけど、スナック泊まり木で、ダンスの後輩の女の子とのやり取りに入ってくる成田凌とそれに乗っかる池松壮亮。ニューヨーク屋敷のナンパの手口のリアルさ。床屋さんの誕生日割引。吹くとビローンって伸びるやつが全然戻ってこない件。結構劇場のクスクスが色んなところから聞こえました。

とにかく、伊藤沙莉と付き合えたら絶対楽しい、と思わせる雰囲気とやり取り。これだけでもう一回観たいってなった。今舌打ちしました?とか、返しが絶妙というか。出演作の中で一番好きかもしれん。顔につけたクリームを舐めるところ含めてイチャつき方がリアルにエロい。

とりあえずジム・ジャームッシュのナイト・オン・ザ・プラネットは見てみたい。同じく伊藤沙莉が出てる「ボクたちはみんな大人になれなかった」に過去に遡るっていう点で似ているところもあったけど、断然こちらの方が良かった!
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