このレビューはネタバレを含みます
「One Day 23年のラブストーリー」みたいに、同じ日付(本作では7/26、照生の誕生日)が毎年繰り返される。「One Day」と異なるのは誰も死なないこと、そして未来から過去に戻っていくこと。
ストーリーが過去に戻っていくうちに、冒頭シーンで何気なく見ていた場面が、照生(池松壮亮)と葉(伊藤沙莉)にとって重要な場面であることが分かって切なくなる。(映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」のタクシードライバー台詞や、照生がダンサーの照明の仕事をしている背景など)
過去に遡る過程で仲の良いエピソードが多いからこそ、より一層この2人は今後の人生で交わることは無いんだろうなという思いが強調されているようだった。だからこそ、下手に将来を期待させない、ただただ「ちょっと思い出しただけ」なラストに寂しくなる。(しかしこのラストで良かったと思える。)
2人が別れるシーンは、特に「こういうカップルめっちゃ多いんだろうな」と思える。
葉は最初別れるつもり無くて仲直りしようとしてたのに、理想ばかり自分よがりの照生を見て愛想を尽かして別れに至る。どれだけ仲良かったとしても、価値観の違いで喧嘩別れをしてしまうこともある世の常を感じて寂しくなる。
さらに次の場面では1年時が遡り、葉と照生が仲睦まじそうにしているのが、関係性の終わりを知っている分、余計に苦しくなってしまった。