この映画2022年のベストの中に挙げている人も多くて、いつかは観なきゃなぁと思っていました。
私事ですが、最近に彼女と破局したので、この映画を観るなら今が一番刺さる筈であると思い立った次第です。
傷口に塩かなと覚悟をしながら観ましたが、失恋映画ではあるのですが意外にも爽やかな気持ちで観終わる映画でした。
映画のタイトルが『ちょっと思い出しただけ』っていうのが素晴らしいよ。
当初は違うタイトルになる予定だったみたいですが、このタイトルが最適解だったと思います。
後悔があっても過去に巻き戻しすることなんてできないけど、その過去の積み重ねが今を形成しているのは紛れもない真実です。
そんなに過去のことをただ"ちょっと思い出しただけ"。別に未練があったり引き摺ったりする訳ではないけど"ちょっと思い出しただけ"。
このタイトルめちゃくちゃ良い!!!!!
そんでもって、最後それぞれが眺める朝焼けのなか、流れるのがクリープハイプの『ナイト・オン・ザ・プラネット』って最高だよね。
泣けたりする映画じゃないんだけどなんとなく心に残るような映画になったと思います。
同じ日を一年ごと遡っているから、一年間の空白を部屋の様子だったり、二人の距離感だったりで想像して補完するので能動的に映画を観ているっていうのも感じられて良かったです。
夜の街の路上でひとりで池松壮亮がケーキを食う中、周りの人たちのカットが入れられるシーンがあります。ここがね賑わう街中での孤独感、自分だけ一人なんだっていうのが、別に説明台詞もないんだけど、なんかわかるなーと感心しました。
あと夜のシャッター街で子供みたいにふざけて踊るのもなんか楽しいんだよなーって思ったりして、自分のこともちょっと思い出したりしました。
だからといって、自分の過去の恋愛を思い出したからといって別に変に懐かしんだり、悲観的な感じにならないのがこの映画の爽やかさであって、そこがとても良かったです。
