こつぶライダー

ちょっと思い出しただけのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.5
何気ない1日の積み重ねを思い出すと愛おしく感じる。
東京の夜道を走るタクシーも、夢敗れた青年も、世界にたくさんいる。その中の自分の物語なんて、ちっぽけ。だけど紛れもなく自分だけの物語。

とある1つのカップルのドラマ。
こんなカップルが世界にはごまんといる。
無数に生まれる何気ない物語から、世界の広さを感じ、同時に自分自身の存在のちっぽけさを感じる。

ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得た邦画らしい邦画。

自然に行き交う台詞が紡ぎ出す何気ない物語は、観ていて心地よい。

脚本を引き出す演者の上手さも際立っている。
池松壮亮さん、伊藤沙莉さん、素晴らしかった。
脇には売り出し中の河合優美さんに、最前線で活躍中の成田凌さんと若手がズラり。
ベテランの國村隼さんと、先に挙げた『ナイト・オン・ザ・プラネット』にも出演している永瀬正敏さんが花を添える形に。

人生って色んなドラマの連続。
出逢って、恋をして、別れて、また恋をして…その繰り返しの中に何があったかはハッキリと答えられなくても、何かしら胸に残るものがあるから先に進めている気がする。

あの誕生日を軸とした物語だから、ケーキはキーワードになってる。
時の流れから様々な変化があり、それとは反対に変わらないものもあるってことに気付かされる。
6年前の今日、私はどんなんだったかなー。
こつぶライダー

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