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麻希のいる世界のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

麻希のいる世界(2022年製作の映画)
4.5
[ただ、麻希のいる世界を求めて] 90点

大傑作。難病を抱えて孤独に苛まれながら、生きた証を残そうとする由希。MPDGとファムファタールを往来して人々を翻弄する麻希。二人を追いかける祐介。永遠に交わらない三人の世界を、それでも交えようとするパワフルさにやられてしまった。冒頭で由希は後ろを向きながら歩いていて、それは何度か繰り返される。加えて、自転車が倒れることも、由希自身(或いは麻希)が倒れることも気にせず、ずんずんと次に進んでいくのだ。そのうちに、生きた証とやらも消え失せ、ただ麻希のいる世界を求めて突き進んでいく。そして、平行線が十字路の標識を以て交わるとき、世界が不可逆な方向へと進んでいたことを知る。こんな悲しい映画があるか。

風を見張る
風はわたしたちを目的地へも地獄へも
連れていくから
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