受難の映画。
信仰ともいえる気持ちをかかえた女性が経験する受難。『さよならくちびる』の次回作と考えると後味は良くないが打ちのめされる。
由希の麻希への「信仰」は歌を聞く前に始まっている。それから、いくつもの受難を経てすべてを失い、観客にも「信仰」を同化させた上で放り出すのは意地の悪さか何なのか。
この映画、ラスト30分がカットされたような印象を受ける。そこに何を観るかという映画なのかもしれない。正直に言えば自分は「神はいない」と思った。
それにしても、塩谷監督の近作に感じる80年代少女漫画っぼさはなんなんだろう。いや、すきなんだけどね。紡木たくにコミカライズしてもらいたい。
海辺の廃墟というロケーションが最高で、あの廃墟で過ごす最後の時間を「外から」撮るところが白眉。