Yurari

叫びとささやきのYurariのレビュー・感想・評価

叫びとささやき(1972年製作の映画)
3.5
1時間半ほどの映画。決して長くない時間だが、本質がぎゅっと詰まっている。この尺であれば、エンタメ的な娯楽映画くらいしか成り立たないんじゃないかと思い込んでいたが、そんな事はないというのがよく分かった。芸術的な作品でも、表現方法を工夫すればいくらでも本質に迫ることは可能なんだなぁ。これだから映画はやめられない。

3姉妹と召使、4人の女性の物語。病気の次女を看病するというシンプルなストーリー。皆それぞれ孤独や喪失を感じており、場面の切り替えとともに彼女たちの内面が描かれる。セリフは決して多くなく、それぞれの出来事から背景を探るしかない。
他の映画であれば、「おいおい、そこもっと説明してくれなきゃわかんないよ〜」とツッコミをいれるところだが、ベイルマンの映画ではそんなツッコミは無意味であり、解釈を委ねられているような感覚に陥る。
多くを語らないものの、余白で伝わる何かがあるからだろう。映像の作り方もうまい。色彩、音の使い方も非常に効果的。

面白いか?と言われると即答は出来かねるが、その後の映画界への影響を考えると、彼の作品は観ておいた方が良いと思う。
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