RAMPO

ザ・ボーイ 鹿になった少年のRAMPOのレビュー・感想・評価

2.0
景色の良さを売りにする山の中腹あたりにある寂れたモーテルが舞台で、本来は周囲に連なる連峰や眼下に広がる雄大な自然など、美しい景色が売りになるのも分かる環境(舞台設定)のはずが、描き出される絵面は作品のトーンに合わせてとにかく寒々しく寂しい。

そんな所に好き好んでやって来る客がいるはずもなく、同年代の友達は皆無、母親は早くに愛想を尽かして出ていき、親から承継したモーテルを息子に引継ぐためだけに半ば義務感のみで経営管理する父親と2人暮らしの息子、まさに“その少年”が主人公。

なんだけど、そんな環境で寂しさや閉塞感に耐えきれず、徐々に壊れていく。まぁ心情は分からなくもないんですけどね、誰しもそんな状況から何とか逃げ出したい、抑圧された感情を爆発させたくなるとは思いますが、しかしやっぱ異常な言動なのは間違いない。

それでも、クライマックスまでは淡々と、時折ヤバイ雰囲気は漂わせつつも、やり場が無いのであろう屈折した、しかしながら多少度が過ぎた“子供の悪戯”の域を出ないまま話は進む。

おそらくは無音にして画面を眺めてるだけならば、これがホラーとは絶対に思わないと思う。ちょっとしたカメラワークと効果抜群の劇伴だけで不穏な空気を醸し出してる。そのあたり、映画の作りとしてちょっと面白いかなと(ただし、物語を追う身としてはかなり退屈)。

まぁ本作はクライマックスが全て。
それまでの蓄積した鬱屈を全て一気に吐き出す行動に出る。ぶっちゃけ見どころはここだけ。ある意味壮観ではあるが、この瞬間のためだけに2時間近く時間を費やすのは正直時間の無駄。
犠牲者全て非はなく単純に少年の感情爆発の被害者でしかないので、胸糞悪さしか残らない。

鹿の角に何らかの意味があったのかもしれないけど、私には何も伝わってこなかった。先に観た「キラーセラピー」同様、精神異常者が起こした事件ってだけで、これホラーじゃない。
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