T太郎

ザ・ボーイ 鹿になった少年のT太郎のレビュー・感想・評価

3.4
961
ホラーというよりサイコサスペンスか。
少年の心に宿るモヤモヤがどす黒く変色してゆき、最後の大爆発へと繋がってゆく。
そんな物語だ。

だが、終盤までは非常に静かでおとなしい映画なのである。
おとなしいにも程があるのだ。
もっと自分を出した方がいいよ、と忠告してあげたくなるほどおとなしい。

いや~、それにしてもよく寝た。
久しぶりに心地よい眠りへと誘っていただいたのだ。
君はエアウィーヴか!
真央ちゃんもビックリやで!

しかし、心地よいレム睡眠とノンレム睡眠の繰り返しの中で、私は物語を着実に追っていたのだ。
時に金縛りに苦しめられながらもだ。

さすが私だと言わざるを得ないだろう。
(寝過ぎやで)

主人公はテッド少年だ。
父親が国道沿いのモーテルを経営しており、二人で切り盛りしている。

テッド少年は孤独だ。
友だちがいない。
学校に行っている様子もない。

だから、やたらと宿泊客に近づくのだ。
勝手に客室に入ってゴソゴソしたりする。
チェックアウトできないよう車に細工をしたりもするのである。

そして、切れやすい。
幼いながらも非常に切れやすい少年なのだ。
だからこそ最後の大爆発へと繋がっていった訳である。

ちょっと辛抱を要する作品かもしれない。
なんせエアウィーヴ並みの寝心地の良さを誇る作品なのだ。
気がつけば夢の中、という事態が生起する確率は極めて高いのである。

しかし、そこは目をグッと見開いて鑑賞していただきたい。
静かな展開の中に漂う、独特で不穏な空気感は悪くないのである。
丁寧に作られている印象があって好感が持てるし、ちょっとした伏線もあるのだ。

眠いなどと失礼な事は言わず、ちゃんと観ていただきたいものである。
T太郎

T太郎