Moomin

帆花のMoominのレビュー・感想・評価

帆花(2021年製作の映画)
4.8
あけましておめでとうございます。
今年で映画の大学は卒業し、テレビ業界に就職しますが、これからも映画製作への夢は続きます。何卒よろしくお願い致します
(映画を作りながら働きます)

新年一発目は先輩のデビュー作を劇場で

帆花ちゃん、生まれてから脳死の状態が続く女の子とその家族にどう制作陣が向き合うか

育児に対する両親目線の本音とも捉えられるインタビューをどう挟み、切り取った日常をどのように見せていくのか

日常の見せ方はとても面白く、飛躍せずともやはり帆花ちゃんの体温をフィルター越しに感じ
もっと言えば母親の体温を感じた
それは1つ目の母親のインタビューの言葉が強かった

もう一つ、何回も捉えられる帆花ちゃんの表情 彼女の顔から観客は何を感じ捉えられるのか 間に挟まれる実景でシーンを上手く区別させテンポを作り、映像が重ねられることによる演出を考えさせられるポイント

もう一つは『音』。部屋に流れ続ける人工呼吸器の電子音。重なるように帆花ちゃんの声。家の中での撮影が多い今作にはこの『音』が永続的に流れ、あくまでカメラで切り取るドキュメンタリーにおいても切り離せられない日常というものの時間が地続きで流れていることを感じる
上で述べた、体温を感じる要素の1つは間違いなく『音』の存在。

全体像としては、あくまでイメージだがしっかりと張られた琴線のような物に触れていくようなストーリー
つらい・重い題材だ。という観客の先入観との駆け引きが非常に綿密に施されていて、見終わったあとに、「見て良かった…」と思える所まで持っていけているのが凄かった。
細かい演出はいくつか目に付いたが、恐らく構成の練度の高さ

映画製作の学ぶ目線。を持ちながらもこの作品に、帆花ちゃんの家族に出会えてよかったと素直に思えた
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