『名付けようのない踊り』を鑑賞。田中泯の「場踊り」に密着した映画だ。名前だけぼんやりと知っていたダンサー、そして俳優の田中泯。色んな巡り合わせがあり、垣間見てみようと思った。
その場その場で生み出される、オドリ。一言で言ってしまえば、僕は田中泯の自然と人間の関係を巡る価値観が好きだ。
「世界にはこんなにも違う速度が同時にある」
ただそれは自然に対する人間を巡るものでも、自然の中における人間を巡るものでもない。自然としての人間を巡るものであり、その身体性がオドリに体現されている。いやその身体性そのものがオドリなのだろうか。いや、それもきっと正しくない。オドリは人に属さないのだから。
彼はいう。
「芸術になる前の踊りを探してみたかった」
近代にかぶれた僕は、どうしても田中泯のオドリに扱い易そうな枠組みを探してしまう。そんなとき、自分はどこまでも凡人だと思ってしまう。(だから何だというわけでもないのだけれども)