Ki64

アルピニストのKi64のネタバレレビュー・内容・結末

アルピニスト(2021年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

アマプラにて駆け込み鑑賞。
超人クライマーを二年間追っかけたドキュメンタリー。

クライミングの記録なので、当たり前かもだけど高所恐怖症の人は閲覧注意。
自分も苦手な方ではあるので、登攣中のシーンはヘタなホラー映画より心拍と呼吸が乱れた。ヤバい(Yabai)
だって断崖絶壁をロープ使わずに登るんですもの。
人が点になるほど遠景ショットでの巨大な山は、嫌でも大自然を感じさせられる。

今回の主役であるマークがまず、すごく魅力があって惹かれる人物。
人生で一人は出会ったことがないか?周りの目や評判、噂など一切気にせず、自分のやりたいことだけをがむしゃらに夢中でやる人。
なりふり構わず一つのことに無心で打ち込めるモノを持ってる人。自分がなりたくてもなれなかった、憧れのようなものがあった。
こういうのって、なりたくてなれるもんじゃないとも思うし。

マークはまさにそんな人。
少しでも間違えれば即命を落とす危険な場所を次から次へと登っていく。まさに『そこに山があるから』といった感じ。
SNSが主流となったこの時代、クライミング中や登頂時その様子を発信すると思うんだけど、なんとマークはそれらのことを一切やらない。では何故映画になるほど注目されたかというと、それほどクライマーとしてのスキルが常人のソレではないのだ。


結末をいうと、彼は最後のクライミング中に雪崩に巻き込まれ行方不明になってしまった。
ショックではあったけど、不思議と悲しくはなかった。
まるで『偉人の死』に立ち会ったような気分だったからだ。
それよりも、やりたいことをして死んだんだ。彼ならきっと後悔なんてしてないし、無念にも感じてないだろう。
彼の生き様は、そう思わせてくれるような素晴らしいモノだったのだ。
悲しみより、誇らしさが勝るのだ。


鑑賞後は胸が熱くなるのを感じた。
自分が死んだときのことを考え、やり残して、後悔することはないか。
今一度振り返って、奮起する機会と勇気をもらえる、素晴らしい1本でした。
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