A24特集にて。
劇作家スティーヴン・カラムが自身の戯曲を映画化した作品。インディペンデント・スピリット賞では撮影賞にノミネートされた。出演は『シェイプ・オブ・ウォーター』リチャード・ジェンキンス、『レディ・バード』ビーニー・フェルドスタイン、コメディアンのエイミー・シューマー、『ミナリ』スティーヴン・ユアンなど。
上下二階、一つのアパート内で繰り広げられる人間ドラマ。ある意味で密室劇とも言える。
正直展開が遅くかったるいなぁとは思うが、自由自在に壁や床をすり抜けるカメラワークが素晴らしい。撮影が評価されているという意味が分かった。
実力派が集まったキャスト陣はいいのだが、彼らの本領が発揮されているかというと微妙。リチャード・ジェンキンスはすごく好きな俳優だが、演出次第でもっと凄みのある演技が出来る人だと思っているので正直残念。他のキャストについてもそうかな。ユアンもフェルドスタインもシューマーももっとできる。
家族の秘密をめぐる密室人間ドラマで終始暗い雰囲気。そこももうちょっと展開力で何とかならなかったのかと思ってしまう。
ただ、終盤「あ、やっと…!」というシーンがある。そこに関してはよかった。そこは舞台ではなく映画にした意味がある表現だったように思う。
劇作家出身ということでやはり全体的に舞台っぽい。それなら舞台でやればいいじゃん、というのが個人的に思うところ。そこはもう少し工夫が欲しかったかな。撮影がとにかく素晴らしい。その意味では必見の一作と言えるかも。