Monsieurおむすび

ムーン、66の問いのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

ムーン、66の問い(2020年製作の映画)
4.1
子供の頃、触れ合うことができなかった父娘が、時を経て難病で体の自由が効かなくなった父のリハビリを通して喪失の時を埋めていく。

酒、タバコ、車…。
縮まるようで、知らなかったことを痛感する切ない距離感をどうにかしようと、父パリスに同化する娘アルテミスの喚き散らしたくなる胸の内。
彼女の時間が止まったままなのは、同年代の友達と思考が合わない描写やアイスを容器から食べる幼稚性からも窺える。

親子の確執あるあるを乱発しながら、定型に収まらない謎加減がスクリーンへの求心力を保ち続ける。
ここでも登場するビデオカメラによる記憶と記録。「アフター・サン」に比べて、より抽象的な映像はもうこの父娘だけのもの。
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