コマミー

アウシュヴィッツの生還者のコマミーのレビュー・感想・評価

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)
3.6
【かつての想い人に届くように…】


※fans voice様のオンライン試写会にて鑑賞





「レインマン」「スリーパーズ」などの巨匠"バリー・レヴィンソン"が、実在した"アウシュヴィッツ"を生き抜いた"ハリー・ハフト"と言うボクサーの半生を描いたドラマだ。
ハリーを演じるのは「ホステージ」や「メッセンジャー」など、難しい役や体当たりな役が多い"ベン・フォスター"。そしてハリーの妻となる"ミリアム"を演じるのは"ヴィッキー・クリープス"。他、ビリー・マグヌッセンやピーター・サーズガード、ジョン・レグイザモやダニー・デヴィートと言った豪華なキャストが共演している。

本作の原作を書いたのは、ハリーの息子の"アラン"である。アランが父から聞かされた話を忠実に書いたものを、レヴィンソンが映画化したというわけだ。尚、このアランの少年時代も劇中に登場する。
アウシュヴィッツで生き別れた恋人:"レア"といずれ何処かで再開するため、収容所での"賭けボクシング"の経験を経て、戦後アメリカでボクサーとなる。1948年から1949年までライトヘビー級として活躍した彼だったが、アウシュヴィッツでのトラウマによる"PTSD"も影響して思ったような成績は得られなかった。これは辛かったであろう…。
そんな彼にとって、レアに代わる緩和剤的存在となるのはミリアムだった。やがてミリアムと"結婚"し、アランを含む3人の子をもうけるが、その後もPTSDやレアの事も忘れられない。

だが確かに徐々に"心も開き始める"ところも見られた。
ハリーの人柄はとても尊敬できるものではないが、それほど苦しい体験であった事がよく分かる。そしてミリアムやアランに話した事がほんと彼が"後世に話したかった全て"のように感じた。

ハリーを演じたベン・フォスターの気迫が凄い。ミリアムを演じたヴィッキー・クリープスもいい立ち位置を見せてくれた。

この時期に見るべき映画として、本作も組み込むべきである。
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