"最後に立っていた者の勝ちだ…どっちがいい…銃弾か毒ガスか…"
アウシュヴィッツ収容所から生還したボクサーハリー・ハフトは戦い続ける…生き別れた恋人レアを探す為に…レアが読んでくれるかもしれないと受けた取材で、生き残る為に同胞であるユダヤ人とボクシングで戦い…敗れた同胞達は死んでいったことを明かすハリー…
"選ぶしかなかった…生き残る為に…"
収容所での過酷な経験は、生還したハリーの心を罪悪感が苛み、新たなパートナーを得て、新たな人生を歩みだそうとするハリーに苦しみを与えていく…
これは、壮絶な実話である…
主人公ハリーには選択の余地はなく、生き残る為に選ぶしかなかった…そしてその選択は非情そのもの…
その証拠に過酷な経験により、PTSDとなったハリーは恐らく死ぬまで悪夢が消えなかったのだろう…
ロッキー・マルシアノとの運命の試合を控えたハリーに対し、ジョン・レイグザモ演じるトレーナーによるラテンのリズムを活かしたトレーニングやダニー・デヴィート演じるマルシアノのトレーナーとの絆が実に美しく、実に叙情的に描かれ、悲惨、過酷、そして非情なハリーの過去との比較により、より今のハリーの苦しみが明確になるという…流石名匠バリー・レヴィンソン…観る者の心を揺さぶる作品となっております。
このままでは、自分の心もそして大事な家族をも壊してしまいそうなギリギリの所で、ハリーに与えられた癒しに感動…
"お前に全てを話そう…ただし、この一回だけだ…"
息子アランへのこの一言は、ハリーの苦しみからの解放のように思えてなりません…
間もなく終戦記念日…もう70年以上経ちますが、未だに知られざる実話というものがあるのですねぇ…