シエル

わたし達はおとなのシエルのレビュー・感想・評価

わたし達はおとな(2022年製作の映画)
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生意気で自信たっぷりなロクでもないヤツを藤原季節さんが演じたら最高なのではないかと思い鑑賞。

藤原さん演じる直哉は、想像したほどクズではなくて、酷いことしてるけどまあ普通といえば普通の男。
昭和の男は、程度の差こそあれほぼみんなこれだし、なんなら令和の男だって、一皮剥けばこんなもん。たぶん。
藤原さんは、思った通り嫌な感じがとてもナチュラルで、ぴったりはまってます。

『ブルーバレンタイン』があるのになお、この形式の映画が作られ続けるのは、男女(とは限らないけど恋愛関係)の出会いから別れまでというのが、その間にほとんどこれといった事件がなくてもドラマとして成り立つからだ。もう少し広げれば、恋愛関係でなくても、出会いと別れさえあれば、それはもうドラマなのだ。

今の若い人たちはこれほど希薄な人間関係の中で生きているのだな、と思ったが、べつに昔もそうだったのかもしれない(友だちほとんどいなかったのでわからない)、人って孤独だな。

本作は、普通さ、凡庸のショーケースだ。リアル、ということはそういうことだろうとも思う。
時系列をシャッフルしなければ、おそらく退屈な作品になっていたのではないだろうか。

本作を見ても痛くも痒くもないのは、私がもうおとなだからだろうな。

(2022年映画館32本目)
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