望まない妊娠をした大学生優実が、父親の可能性が高い彼氏の直哉と言い合って、直哉と別れる決意をする話。
妊娠発覚後の優実と直哉のやりとりに
出会いから一旦別れて復縁する間の記憶がインサートされている。
「ちょっと思い出しただけ」のように
カレンダーなどサインになる小道具がないので、
気を抜くと過去の話だったりと、混乱してしまう。
けれども、面白い！
この監督の映画って
「ほつれる」でもそうだったけど、
男女の言い合いのリアルさが秀逸だ。
いい彼氏を装っているが、
彼女の不安や怒りを受け入れず、
「自分」のことしかない直哉。
自分の思いが受け入れられなかったら物に当たってビビらせる。
自分の欲望を優先してピルを飲ませる。
前の彼女も自分の子も堕ろしているが、
その子も捨てて、罵倒して、けれど正論ぽいことを宣う。
最低の男なんだけど、
劇団の中心で
夢を語ったり
かわいいところもあるのが、またクソ。
正論ぶっているものの、結局は女を捨てる直哉に自分から別れを告げて、
優実はおとなになったんだろう。
初め「わたし達はおとな」の「達」は直哉かと思ったが、
こいつは大人になんてなっていない。
「達」は優実や元カノや、
こういうクソ男と対峙した女性のことだと思う。
冒頭に現われる「ノットヒロインムービーズ」のテロップ。
壁ドンも、キュンもない
等身大の女性だった。
それにしても…
藤原季節は独特の魅力がある。
彼でなければ、こんなクソ男を映画で見続ける気に
ならなかっただろう。
