大好きなヘイリー・ルー・リチャードソンが主要なキャストで登場。インディペンデント作品でもメジャーに見劣りしない良質な作品が出てくるアメリカ映画の層の厚さを再確認しました。映像、キャスト、ストーリー全てがバランス良く満足です。
雄大な山々に囲まれた広い大地。寒々しい空の下のポツンと一軒家。家の主人が昏睡状態となったことをきっかけで帰郷した娘（姉）と息子（弟）を中心に、ゆっくりと物語が描かれていきます。
昏睡状態の父と、姉のヘイリー・ルーの間で過去何かがあったみたい…。これが話の核になっていきます。ちょっと『マンチェスター・バイ・ザ・シー』（'16）を思い起こさせます。心を完全に閉ざした姉と姉思いな弟との会話は、よそよそしいけどかつては仲良し姉弟だったんだろうなーと匂わす演技が素敵。弟役を演じたオーウェン・ティーグも、この辺の非常に細やかな演技が素晴らしくて、すっかり弟に感情移入してしまいました。ちょっとアダム・ドライバーに似ていて少し若くさせた感じ…。オーウェン・ティーグも今後活躍の場を広げていきそう。
昏睡状態の父を自宅介護するケニア出身の看護師や、トラックを手に入れるシーンで登場するネイティブ・アメリカンなおじさんの存在もこの作品に深みを与えています。意味深なセリフを短い言葉で語る感じが心に沁みました。
