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仁義 序章のminamiのレビュー・感想・評価

仁義 序章(2001年製作の映画)
5.0
仁義シリーズの中でもかなり好きな回です。「序章」と言いつつ、リリースは「仁義29」の次で、シリーズ最初の「仁義2」(1994年)から7年を経て制作されています。仁義の出会いが描かれる「エピソードセロ」的ストーリー。

ちなみに、7年も経過しているのに、どちらにも登場する黒川組三代目組長アキラ・通称「ぼん」が同じ俳優さんなのは嬉しいところ。物語の世界では「序章」の数年後が「仁義2」なので、話が繋がってる感じがいいですね。

さて、「仁義2」ではすでに黒川組は三代目組長(ぼん)の散財により壊滅状態にあり、そのとどめをさしたのが仁義コンビでしたが、「序章」は時系列的にはその前なので、まだ黒川組は二代目組長(ぼんの父親)が治め、隆盛を誇っています。

仁は、その黒川組二代目組長を襲撃するのですが、その際に誤って通りすがりの義郎の脚を撃ってしまい、そこで二人が出会うわけです。そんな折、黒川組若頭の鬼丸(菅田俊)が、黒川組組長を砂組の仕業にみせかけ殺害し、自分が組長代行の座につきます。鬼丸を倒すべく立ち上がる仁&義コンビなのですが…。

熱い仁とクールな義郎の対比や、真っすぐで素直なクモ・ヨネの描写など、砂組のみんなのキャラクターが存分に描かれていて、とても見ごたえがあります。組に入ったばかりの義郎のために砂川のおやっさんが頭を下げるシーンは胸がいっぱいになるし、その際に(今作限り出演の)若頭っぽい方が涙ぐんでたりして、砂組って本当にいい男達の集まりだなぁと改めて皆のことが大好きになりました。

話の本筋ではないですが、仁の自宅の壁に「ヤクザは街の潤滑油」という書が掛けてあるところもかなりツボです。仁と義郎がタッグを組む直前のひりひりしたシーンであれを映すところがもう…そのセンス、最高に好きですw

そして今作の悪役ゲストが菅田さん!仁義シリーズに何度も登場する菅田さん(転生)ですが、この菅田さんも本当に良い。悪い!悪い!悪いんだけどカッコいいんです!

今作の菅田さんは、ダークスーツに黒縁眼鏡で、やってることは極悪非道だけど、外見は結構カタギっぽいんですよね。鬼丸の女・杏子もとても美しい女優さんで、菅田さんと並んでいる姿がお似合いすぎて…。鬼丸は、惚れた弱みで杏子には強く出られない…みたいなセリフもあって、なにそれ鬼丸めちゃ可愛い…キュン…ってなりました。

あと、鬼丸の器の小ささを表現するためなのか、ちょっとビビりな演技もあって、一瞬なんですがそれも可愛かったですね~。

鬼丸の杏子への仕打ちはなかなかに酷いですが、人の愛し方が分からない可哀相な人なのかもしれません。鬼丸、たぶん誰もいないところでは泣いてるはず。あぁ鬼丸…(菅田さん演じる悪役にに感情移入しがち)

最後、なぜかお決まりのド派手な死闘シーンが無かったのが少し…いや、かなりもの足りなかったのですが(せっかくの菅田さんなのに)、総じてとても良かったです。大好きな回です。
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