MorrisWood

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島のMorrisWoodのレビュー・感想・評価

3.3
ドアンの人物像や、彼がどうしてジオンを抜け、島で子供たちと暮らしているのかという過程が主役格のキャラクターであるはずなのにあまり描かれておらず、元のエピソードをなんとなく覚えている身でもモヤモヤした。

特に、元エピソードではドアンは戦争における加害者側のトラウマを体現した人物であり、そこが元エピソードが人気である理由の一つだと思うが、本作では過去の戦争体験に悩まされている描写もほとんどなく、比較的饒舌で快活なキャラクターに変更されており、元エピソードの良さを消してしまっているように感じる。

また、基本的に出てくるキャラクターが原作キャラクターも含めて安彦漫画テイストで描かれており、顔芸やギャグ漫画みたいなポーズ・セリフを連発するのも気になった。安彦氏のキャラクターの表情や言動は漫画でみる分には違和感はそこまでないが、演出を抑制せずそのまま映像化しているため、従来のガンダムの作品テイストから大きく逸脱してしまっている。

カイやスレッガーの言動は原作の人物像と大きく乖離しているように感じたし、劇中のブライトと連邦軍士官のやりとりなどもやりすぎの感が強い。新たな要素として加えられたサザンクロス隊に至っては北斗の拳の雑魚キャラみたいなのまでいたりする。

「敵も感情をもった人間である」というところを描いた点が元エピソードに代表されるガンダムの良さだと思うのだが…

良かった点としては

・現代風にアップデートされた各種モビルスーツや兵器の造形などを見れたこと
・ゲーム等で無能認定されていたゴップがちゃんと無能じゃない感じで描かれていたこと

だろうか。劇場で見て後悔するほどではなかったが、原作の脚本がとても良く、下手にいじらなければもっと良い作品になったのではないか、という思いが禁じ得ない作品だった。
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