青の

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島の青ののレビュー・感想・評価

3.5
【カイが一番良い味だしてる】

TVシリーズ、伝説の作画崩壊エピソードを安彦良和氏がメガホンを取りリメイク。
その作画崩壊、当時(1979年)作画監督であった氏が病欠してしまい、人手不足故に海外発注した為だとか(ネット情報なので真偽は不明)。

今作、とにかく絵が美麗。
あの作画崩壊事故に対しては一矢報いえたのではないかと思う。
声優もアムロやカイ以外は殆ど一新されたようだが、個人的には違和感は無かった。むしろ元気があって良い感じだった。
もちろん、ブライトやセイラさん、ミライにフラウ達のあの声を欲してしまうのは否めないが…。

で、安彦良和氏が監督した作品…『アリオン』『ヴィナス戦記』『クラッシャージョウ』『巨神ゴーグ』にも感じた事だが「この人、ストーリーテラーとしてはダメなんじゃないか?」って言う印象がまたしても。

キャラ作画はとにかく芸術レベルに美しい。
ところが、ストーリーは?となるとイマイチな作品が多い。
今作も、所々間延び感や「え?」ってシーンが多く、見ていて心配になった。

【以外ネタバレ気味】

















—気になった箇所—
・ブライトが甘過ぎ。アムロに言い過ぎたと悩むほど言い過ぎてはいない。
・スレッガーがマヌケ過ぎる。クビもげて岩にズドーン。せっかくジムに乗ったスレッガーなのに見せ場皆無。
・作戦失敗してからのマクベが「あははははー」で部屋を出て済ませちゃうとか、なんそれ状態。
・ヤギの追いかけっこやミルクをこぼす件がしつこい。
・灯台に灯りが入る事の危うさ、アムロなら分かる筈なのに呑気過ぎる。
・敵の女性パイロットとドアンに何かありそうだが、何も語られない。だったら全員残虐非道な輩部隊で良かったのでは?
・ドアンのバックストーリーにもう少し尺を割いても良かったのでは?

そして、アムロは生身の兵士を踏み潰したりしない。この時点では。
1年戦争終盤であれば、兵士としての練度が上がり…って事で無くは無いが、今作のオリジナルはTVシリーズ43話中、15話でのエピソード。
「モビルスーツに乗った敵なら罪悪感無しでやれる」と、やっと自分に言い聞かせていた頃だ。
ましてや、前エピソードで母親の目前で兵士を銃で撃ち、そのトラウマ抜け切らぬ状態。
母親やシャアに詰められる悪夢シーンこそあるが、それが克服した事にはならないと思う。
『不殺のアムロ』を願ったのではなく(逆にアムロはサイコパス味ある)この時点では、と言う意味で違和感が残る。


繰り返しになるが、絵は綺麗だし作画も最高。
メカもバトルシーンも申し分無し。
オリジナル曲を編曲したOSTも涙が出そうになるくらい琴線に触れる。
森口博子の唄も良かった。
エピソードのチョイスもリメイクには丁度良いと思う。

ただし「やっぱガンダム 最高や!」となったかと言うと微妙な感じを引きずってしまう。
「大好き!すげー!傑作だ!」と言いたいけど、ど〜しても心の奥底から言えない感じ。


話は変わるが、叶うなら『ORIGIN』の作風で極力改変をせずに『めぐりあい宇宙編』も見てみたい。
青の

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