おかみにゃん

標的のおかみにゃんのレビュー・感想・評価

標的(2021年製作の映画)
5.0
1/4
1991年8月、元朝日新聞記者・植村隆氏は元慰安婦だった韓国人女性の証言を伝えるスクープ記事を書いた。けれども23年後の2014年、その記事は捏造だったとされ、娘にまで殺害予告の脅迫状が送りつけられるほどの激しいバッシングにさらされた。

この映画は、その「捏造記者」の汚名をそそぐために闘う植村氏・弁護団・市民団体・マスコミ関係者の姿を記録したドキュメンタリー。

慰安婦問題については、何が真実で、誰が事実を隠蔽していて、何を誇張しているのかと論点は様々あるが、自分と考えの違う人に対して、家族を脅迫してまで黙らせるのは大きな大きな間違い。不寛容の世界の始まり。

言論の自由を脅かされる過程が詳らかで、背筋に嫌なものが流れる気分。

この映画の公開がごく短期間でごく一部だったこと、配信もされないというのが、民主主義が名ばかりになりつつある証拠。

そしてピントのずれた感想になるかもしれないが、慰安婦問題が取り上げられたときに「私が、慰安婦として連れてこられた女性を傷つけました」と罪の告白をする元日本軍兵士が誰一人現れなかったのが、この国の限界なんだろうなぁ。