麻耶

キリング・オブ・ケネス・チェンバレンの麻耶のレビュー・感想・評価

4.2
オンライン試写会にて鑑賞

アパートのドア1枚を挟んでのカットが9割以上のリアルタイム進行系の90分間のサスペンス

-彼はなぜ警察に殺されたのか?-
というキャッチコピーと、モーガン・フリーマンが制作総指揮を行ったという事前情報のみで鑑賞

一番最初に表記されるのは、この物語は事実を元にしているという事

心臓の持病がある、元海軍の70歳の黒人のチェンバレン
安否確認の装置を誤作動で押してしまい、安否確認の為に3人の警官が駆け付ける所から始まる

激しく叩くドアの音に目覚めて、苦しそうに起き上がり補聴器を付ける

警官の事前情報として得ているのは、妄想性の双極性障害の既往歴があるという事

チェンバレンにとっては、身に覚えの無い事に軽いパニック状態になる
警官は、パニック状態で会話にならないチェンバレンに対して苛立ちを感じている

チェンバレンは必死に、誤作動であり、自分に問題は無い事を繰り返し伝え、安否確認のセキュリティ会社にも同時に接続しながら、自分の部屋に入って来ないで欲しいと何度も繰り返す

警官は、チェンバレン以外の声がすると言い、部屋の中のチェックをさせろと押し問答をする
令状も無い、緊急性もない、入って良い理由は無いのに、警官のみならずドアを抉じ開ける為の応援も呼ばれる

会話の為に付けている補聴器には、ドアを破壊する金属音が脳内を反響する
打ち破られたドアから雪崩れ込み、押さえ付けて身動きが取れない状態なのにそこから2発発砲される

何故、こんな事が起きてしまったんだろう
誰も止められなかったのだろうか
もし、白人だったなら
もし、精神病の既往歴が無かったら
脳内をたらればが止まらず、
エンドロールを見つめながら、次から次に溢れる涙を拭う力も無く呆然と打ちひしがれた

上映時間とほぼ同じ時間で亡くなった命
隔てたドアの重みが、今も心に引っ掛かりドアは開かない
麻耶

麻耶