クリーム

キリング・オブ・ケネス・チェンバレンのクリームのレビュー・感想・評価

4.1
衝撃的過ぎて言葉を失う。最近、観たどんな恐怖映画よりも恐怖でした。最も恐ろしいのは、これが実話だと言う事。事件が83分だったと言う事で、映画の時間も同じにし、体感する形になっています。臨場感なんてもんじゃ無かったです。苦しくて、何度ももうやめてくれ!って思いました。モーガン·フリーマンが製作総指揮を務めています。

2011年11月19日、早朝のNY.アパートの1室。ケネス·チェンバレンは、就寝中に医療用通報装置を誤作動させ、安否確認にやって来た3人の警官にドアを開ける様、言われます。しかし、彼はドア越しに通報は間違いだと伝え、帰ってくれと言います。しかし、頑なにドアを開けない彼に警官達は不信感を募らせ、高圧的な態度になって行くのでした。



ネタバレ↓



双極性障害と心臓に疾患のあるケネスは、心臓の異常を察知した際、自動的に救急医療センターに通報される装置を付けていた。寝ている間に外してしまい、通報装置が作動、ライフガード社の呼びかけに返事がない為、救急の手配がされた。警部補のパークス、ジャクソン、ロッシの3名が、駆け付けます。
3人は、対象者が精神的に不安定だと報告を受けていた。ドアを開けての安否確認をケネスに要求しますが、彼は頑なに拒否。
警察はプライドにかけて、ドアを開けさせる事に執着して行く。激しくドアを叩き、喧嘩腰になり、ドアを破壊してでも開ける決断をします。緊急対応班の応援を要請し、彼等も加勢し、 パークスは斧やテーザー銃も用意させた。
ケネスの娘、息子、叔母や従姉も心配したり、止めに入ったりしますが、話は通じず、乱暴にドアがこじ開けられ、ケネスはテーザー銃を撃たれ、床に抑えつけられ、警官が心臓で苦しむ彼の上に乗り抑えつけた。そして、最終的にジャクソンにより銃で撃たれて亡くなりました。

彼がドアを開けなかったのは、警察を信用出来ないから。黒人が不当に扱われ、殺される事件が頻繁に起こっていた為だ。
警察側は、自分達の要請を拒み続けるケネスに腹を立て、侮辱されたと感じ、冷静さを失った。また、彼等は、この地域に住むのは犯罪人と決め付けていた。実際、そうだった事もあると思われる。黒人である事、双極性障害を患っている事で、偏見が生まれた事は確かだろう。
ケネスの令状もなしで違法だとの訴えも無視される。それでも新米のロッシは、間違ってると主張した。しかし、パワハラにより却下。
その時の警官達にお咎めは無かったと言う。こんな恐ろしい事が通ってしまうアメリカ社会。エンドロールで、医療機関に残されたケネスとの生々しい通話記録が流れます。
凄い映画、凄い事件を目撃してしまった気分です。恐ろしくて言葉もない。映画としての出来も世界に発信する問題提起としても素晴らしいと思います。間違いなく良作でした。
クリーム

クリーム