回送ペリカン

てなもんやコネクションの回送ペリカンのレビュー・感想・評価

てなもんやコネクション(1990年製作の映画)
5.0
どえらいもんを目撃してしまった。年末に今年ベスト級の映画と出会ってしまった。
東京観光パート、なんだかジャームッシュを観ている気分になった。距離感と風景の移ろいが心地いい。そして今はもはや失われた、おおらかで適当で胡散臭くてカオスで不適切であたたかい、人間のるつぼ。悪事や不正の温床でもあるけど、それをマトモ面して追い払ってコネクションを断ち切って均して、デカいペニスを建設するような奴等が果たしてどこまで正しいのやら。町からムードも余白もデコボコも廃墟も古本屋も汚い喫茶も寝転がれるベンチも取り上げて、広告とフランチャイズと据わりの悪いコンクリートの塊ばかりにしていくことが正義なんだったら、こっちだって思いつく限りの悪事やら不正やらを働いてやりたくもなるよ。
よく言う「こんな作品は現代じゃ撮れない」というのが、ポリコレ的な意味だけでなく時として政治情勢的な意味になってしまうのが寂しく、そして恐ろしい。
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