君子

レイジング・ファイアの君子のレビュー・感想・評価

レイジング・ファイア(2021年製作の映画)
4.9
観てる側もボロボロになったような気分になる映画だった。アクションシーン、めっちゃ痛そうなんだけどめっちゃカッコよくて、他の映画なら1番の見せ場になりそうなアクションシーンが続々と当たり前に過ぎていく。

ドニーさんの正義のあり方に悩む警察官の感じ、ニコラスの生意気だけど拗らせ甘えん坊な悪役の感じ、すごいハマってた。そして、特別出演のメンバーはもちろん、その横にいる細かいキャストもよく観るメンバーが多くてかなりの安心感。で、やっぱり監督への安心感が深い。

私が香港映画を広く観るようになったきっかけは「プロジェクトBB」。ジャッキーはそれまでも好きで観てたけど、古仔の映画を観るようになって、阿saの(厳密にはTwinsの)曲も聴きだして…という感じで始まったから、この2人から広がったんだと思ってるところがあった。でも今は、陳木勝監督が2人の魅力をちゃんと引き出してくれてたからでもあると知っている。

それに、陳木勝監督は❝中国❞の予算の使い方が本当にプロ。「危城」の時も思ったけど、向こう側の予算を使いながら、そしてちゃんとエンターテインメントでありながら、映画の中に確実にメッセージがあると思う。

今作では、政府の命令で警察が市民に対して発動されるようになった今の香港において、「警察が誰のためにあるのか信用できなくなった時に人はどうなるか分かってるのか」「警察は警察本来の仕事を全うしてくれ」と問いかけてたんじゃないかな。こういう風に映画を撮る事のできる人がいなくなったことがとても残念で悲しい。もっともっと作品を観たかった。けど、これからも遺してくれた映画を楽しませてもらえる幸せも分かってる。今まで本当にありがとう!永遠懐念您…!

2022.7.17.追記
陳木勝監督、香港電影金像奨の作品賞・監督賞受賞おめでとうございます。
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