KUBO

ヘブロンでの任務のKUBOのレビュー・感想・評価

ヘブロンでの任務(2020年製作の映画)
3.5
ヘブロンでの任務 ★★★.5

Short Shorts & Film Festival & Asia 2021 秋の国際短編映画祭受賞プログラム4より

イスラエルが占拠したヘブロン地区での兵役を経験した若者たちのインタビューで構成されたドキュメンタリー。

イスラエルはパレスチナ人が入れない道や地域を作る。そこを通りたいパレスチナ人は検問を受けなければならない。このゆるいけど理不尽な光景は他の映画でも見たけど、彼らによれば、これは検問することによって圧力をかけるだけでそれほど意味はない。

ヘブロンにいる兵士はついでに「逮捕」する。近所を連れ回し、水分を取らせず、手錠をかけて座らせる。10歳か、それ以下でも。

「始動アクション」と言って家に押し入ることもある。逮捕や凶器の捜索というのが表向きの理由だが、家の中に入ったら漁りつくす。「棚も全てひっくり返す。壁が壊れるまで。家はめちゃくちゃさ。探してるものはない。目的が何なのか分からずやっていた。何の意味があるのか疑問に思っていた。」と笑って話す青年たちが怖い。

「銃を撃ちたくてたまらないんだ。狙った標的に当たるのは楽しいんだよ。相手は痛みでのたうち回る。僕らはハイタッチして喜び合うんだ。」

なんとパレスチナ人を撃てばピザのクーポンがもらえるらしい!

「アラブ人は皆殺しだ!」と子供が叫ぶ。

「お母さんは僕が何をしていたのか知らない。もしわかったら僕をひっぱたくだろうね。」と最後に若者が語る。

現在ヘブロンの中心地にパレスチナ人は入れない。

作品内でアメリカから来たパレスチナの女性を尋問した兵士が英語で話したら打ち解けたことから「みんな英語を話せたら任務にならなかったかもしれない」と言っていたのが唯一の救いだった。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、全ての宗教の聖地で争いや憎しみが絶えないって、宗教って何なんだろうね?

https://www.shortshorts.org/2021autumn/ja/
KUBO

KUBO