開明獣

ジョージアの開明獣のレビュー・感想・評価

ジョージア(2020年製作の映画)
5.0
主人公の両親の娘さんは集団暴行を受け自殺してしまった。未だ18人もの加害者が何の罪にも問われておらず、警察は捜査を打ち切った。

両親の血を吐くような訴えも虚しく、加害者たちの親は子供を庇い、あまつさえ警察ですら無かったことのように事件を扱う。

デザインコンテストに優勝して、アメリカのジョージアに行くのが夢だった娘さん。両親は貧しく、母親には障碍がある。

性加害者たちへの意識の低さを私たちは改めなくてはならないのではないだろうか?いまだに根強く残る、被害者への差別的な発言。そしてそれを擁護する声。直接、間接を問わず、加害者をバックアップしている。贖罪の気持ちのないものに、赦しが与えられるはずがない。性暴力を擁護する声を糾弾することを止めてはいけないはずだ。そういう意見を持つものは、潜在的に予備軍になりうるからだ。何故なら罪だと思っていないから。それを擁護するものも同罪だと思う。

ハングル文字で外国の地名などを表そうとすると、ただの四角い記号になってしまうそうだ。抗議の文章を表すことすら、ままならない。

記号でしか現れない文字は、被害者家族の押し潰され、無視され、見向きもされないことに対する、魂の叫びなのかもしれない。

ブリリアで配信中ながら、配信期間が残りあと1日。これだけの秀作を今まで観なかったことを深く後悔。
開明獣

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