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スヘルデの戦いのKBのレビュー・感想・評価

スヘルデの戦い(2020年製作の映画)
4.0
戦争映画として新しい描き方でした。ロケーション、キャストともに大規模かつ複雑な撮影であったと思うけど、この事実を実写化した熱意と努力、協力体制を高評価したいです!

☆舞台は1944年9月、第二次世界大戦でドイツ軍占領下のオランダ。ドイツ軍の重要拠点を解放するため、連合国軍はスヘルデの戦いを決行する。その最中を生きたグライダーパイロット、ナチスドイツ兵、弟のため仕方なくレジスタンスに加担した女性という3人の運命が交錯する…という話。

この映画で登場する3人は全員、オランダ人なんですよね。戦争によって、また家族によって、自分の立場や役職が大きく変わってしまった人たち。それは悲しいことに、彼ら彼女らの人生を左右してしまうという残酷さ、悲惨さを描いていました。

今まで観てきた戦争映画では、例えばアメリカ兵や日本兵など、一国の人に焦点を当てるものが多かった気がします。だからアメリカ側、日本側みたいな感じでそれぞれ一つの映画ができてた。

本作ではスヘルデの戦いという、ある出来事を軸にしてるのは従来と同じなんだけど、敵味方は関係なく描かれてる。そこで運命が揺れ動くオランダ人という括りだけがある。

だからこそ、観ていて余計悲しくなるというか胸が締め付けられるのかもしれない。登場人物は兵士、民間人と立場は違うんだけど、母国が同じだからどこか心は繋がっているし、お互いに助けたい、もう殺し合いはやめにしたいという感情なども想像できる。

戦争は悲惨だから絶対にやめよう、とどんな戦争映画を観てもやっぱり思う。
ただ、その悲惨さの描き方って、監督や作品によってそれぞれだなと。本作は戦争を機に、もともと同胞だった母国民たちが戦争や殺しに加担しなくてはいけなくなったのがよく分かるものだった。

戦争の一視点として価値のある作品でした。個人的には解説、セリフもちゃんとあり、背景や内容が入ってきやすかった。
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