TaiRa

スヘルデの戦いのTaiRaのレビュー・感想・評価

スヘルデの戦い(2020年製作の映画)
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『遊星からの物体X FC』でハリウッドにうんざりした監督が地元帰って撮った戦争映画。

スヘルデの戦い自体は西部戦線の中でも結構重要な戦いみたいだけど、英題にある様に「忘れられた戦い」だったみたい。主人公は、ドイツ軍に占領されたオランダ市民の女性、連合軍の空挺兵、オランダ人のドイツ軍兵士の三者を並行して描く。立場の異なる主人公を同時に描くのは、イーストウッドとか例外にしてあまりやる人いないので面白い。戦闘場面はそれなりの迫力だが、ちょっとゲームっぽいかな。やっぱ残酷度が足りないとそう見えちゃう。ナチスに感化されたオランダ人兵士がドイツ軍側の非情さに違和感を覚えて行く過程が描かれるが、やっぱ収容所で何が起きてるかなどは当時の一兵士には知らない事もあったのかね。一方で連合軍側のイケイケで杜撰な作戦もそのまま描かれていて、『遠すぎた橋』の題材にもなった悪名高い「マーケット・ガーデン作戦」をパイロット目線で体験させる場面は、マジ何なんだよってなる。その後も「罠だと思うけど取り敢えず突撃」みたいな雑な作戦で兵士が無駄死にして行くのを散々見せられる。空挺部隊の上官が早々に怪我して使い物にならないのに、ずっと威張ってて面倒いなぁって思ったら、役者がマルフォイの人だった。もうあんなオジさんなのか。主人公三者が結末に向けて一点に集中して行く構成だが、その出会いにはほぼ台詞らしいものはなく、その塩梅が良かった。全体的に必要以上に言葉を交わさない演出は品があった。
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