ボギーパパ

茶飲友達のボギーパパのレビュー・感想・評価

茶飲友達(2022年製作の映画)
4.3
劇場2023-29 DENKIKAN

1館だけの公開から口コミで評判となり全国50館超に上映が広がった話題作。
この評判、伊達ではない!
今日的なテーマを腹を据えて扱った、ある意味恐ろしい作品。
それにしても今年も邦画に素晴らしい作品が多い!洋画頑張れ〜

寂しく、孤立した老人がふと目にした「茶飲友達」募集の新聞広告。心の隙間を埋めようとその告知先にコンタクトを取ると、、、
そこは、時代を先読みした主人公マナが組織したのは高齢者専門の売春組織。
煎茶コースに、玉露コース。茶柱が象徴的にあしらわれるアヴァンタイトル。ここまでで概略の説明が簡潔にして明瞭にされている。
外山文治監督、これまで作品を拝見した事ありませんでしたが、只者ではない事がわかった。
そしてこのアヴァンとラストシーンの渡辺哲さん、素晴らしい。ほんとにこの方の味はどう表現したら良いか、、、『ベイビーわるきゅーれ2ベイビーズ』においても、いいところで、絶妙の間で、なんとも言えない味わいが出せる。
こんな俳優ってそうはいらっしゃいません。

さて、
寂しく孤立した老人と言っても、それはそれ、人それぞれ。寂しさにもそれぞれの理由がある。

そして孤独への対処法が無く、孤独を強く感じると人は「何か」でその隙間を埋めたくなるのだろう。そしてそれは正しいことばかりで埋めていっても幸せではないのかもしれない。

孤独、、、人は最初から孤独であれば孤独を感じなかったのだろうか?、誰かと居たからその反動でより強く孤独を感じるのかもしれない。

そしてそれは年齢によるものでもなく、誰でも同じに感じるものだ。
本作で改めて気づかせてもらった。
マナもそうだ。孤独だから、それを埋めるため孤独な人、老若男女で括れない人たちを集めて「家族」と称し、自らの孤独を埋めている。他人の不幸で自分の穴を埋める行為、、、

でもこの疑似家族は、互いの孤独を埋めているように見えてはいたが、歪なパーツを集めて組み合わせていたため、どこか一つのパーツに、力が加わり更なる歪みが生ずると、音を立てて崩れ出す。そして一気に無に帰す。

もう皆わかっている。
でも分かりたくないんだろう。
だから人は肩寄せ合ったり、触れ合いたかったりしたいんだろう。

そんな話だった。
いい作品だ。
ボギーパパ

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