ぼさー

茶飲友達のぼさーのレビュー・感想・評価

茶飲友達(2022年製作の映画)
4.1
某がある目的で集まった集団に加入→某が集団の目的を理解していく→集団の各メンバーの素性が紹介される→集団内に事件発生→結末と共にメッセージ発動
…という類型構造の作品。
似た類型構造は『万引き家族』。

そして次のような対比となるモチーフをレイヤーのように重ねながら社会問題が描かれている。
・生と死
・高齢者の孤独と若者の孤独
・高齢者の性と若者の性
・親と子
・仲間と孤独

登場人物たちが各々抱えている問題や事情に向き合いながら必死に生きている様が描かれていてとても好きな作品だった。
売春のような違法業態でなければ普通に社会貢献的な事業になり得そうでもあった。

高齢者、若者など同じ世代同士で直接助け合って生きていければ、世代間対立・分断や世代間搾取は防止できそうである。(違法ではあったが)ある種そういうロールモデルが本作では描かれていたと思う。その意味で単に問題提起に留まらず建設的なメッセージを発している作品だと思った。

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主人公のマナが作り上げたファミリーはメンバーとの信頼関係が崩れて崩壊し、信頼関係が元々崩壊していたリアル母が自分らこそ本当の家族だと告げるあたりはグロテスクで残酷だと感じた。
そんなマナを岡本玲さんが演じることで単に悲惨で暗い話にならずに品のある格調高い作品に仕上がっているように感じた。
最後に松子がエゴイズムを剥き出しに豹変するところなど、テーマのコントラストを高めるための作為的な脚本や演出が見え隠れしてはいたが、総じて丁寧にしっかりとした作りの作品だと感じた。

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『カメラを止めるな』の上田慎一郎監督、本作の外山文治監督によるトークイベント付き上映を鑑賞。

上田慎一郎監督は長回しが効果的に使われていることや役者の良演を引き出していることについて同業者として外山文治監督を褒めていた。
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