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カルロス・ゴーン 最後のフライトのTSのレビュー・感想・評価

3.6
【映画のような脱出劇】76点
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監督:ニック・グリーン
製作国:イギリス
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:99分
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 めっちゃ覚えてますねえ。ちょうどこの時年末年始、イスラエルヨルダンに旅行してましたので、ゴーンがレバノンに来たからめっちゃ近接してると感じました笑 ただ、この後イランとアメリカの関係が悪化した話に全て持っていかれて、そしてその話題すら新型コロナウイルスに全て持っていかれたので、最早話題性としてはほんの一瞬でありましたが、それを堂々とドキュメンタリー化しているのが興味深い。日産がコメントを拒否しているためどうしてもゴーンのインタビューに偏ってしまいますが、これはこれで面白い。その国の法に勝ってしまったという例であり、国を超えて法を機能させる難しさを知りました。無論、ゴーンの逃亡劇は許されないことではあると思いますが、彼が根からの悪だったわけではない。殺人を犯したわけではないし、裁判の結果によって情状酌量の余地があったのでは。

 前半は日産とルノーのCEOとしてのゴーンが描かれ、後半は逮捕から脱出までを描いています。ハリウッドでは映画化が進んでいるということで、不謹慎ですが映画のような話なので間違いなく出来たら面白いかと思います。それにしても、ゴーンは才あるが故に誠に多忙。大胆にも人員を大幅カットし、経営者として成功していきます。その分、無駄な交流を避けた故に、彼をよく思わない人も増えてきて、今回の事件の遠因になってしまっだとも言えます。確かにゴーンのように、会社を発展させるためにあらゆる手段を使うことは大事なのですが、結局は人脈がものを言うのだということも知らしめられました。人脈がないとピンチになるし、ピンチになっても誰も助けてくれない。しかし、人脈だけが全てではないし。非常に難しい問題です。

 確かに有罪判決の可能性が極めて高く、65歳から20年も刑務所で生活するとなると、一か八かかの脱出を試みるという気持ちになるのも仕方ないのか。なんだか恐ろしいですが、脱出劇あたりからゴーンが極めて人間的であるということを読み取れました。なんとなく、日産のお偉いさんが逃走したというくらいの認識しかなかったですが、今作を見て事件の経緯をある程度知れました。見てよかったです。
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