TaiRa

マクベスのTaiRaのレビュー・感想・評価

マクベス(2021年製作の映画)
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コーエン兄弟のギャグ担当ってイーサンだったのかな?

シェイクスピア作品の真っ当な映画化だが、ちゃんとコーエンの映画になってるのがやっぱベテランは強いなと。A24の数多あるアート系スリラー/ホラーとも格の違いを見せてるし。企画の発端はフランシス・マクドーマンドで、ジョエルは元々興味なかったみたい。彼女が出演した舞台観て乗り気になったらしい。出来上がった作品観れば、確かに『マクベス』ってコーエン兄弟ぽいかもと。フィルム・ノワールとして映画化するってアイディアは芯食ってる。要はそういう話だし。スタンダードのモノクロ撮影ってチョイスもそういう意識があるからで、光と影の演出を殊更に強調する。撮影のブリュノ・デルボネルと美術のステファン・デシャントがまず功労賞。程よく表現主義の影響受けて古典をノワール化してる。シェイクスピアの何が良いって、台詞がバチクソかっこいい所だよな、っていう感じでかなり芝居も演劇的。デンゼル・ワシントンがシェイクスピアの台詞を吐くだけでめっちゃ良い訳だし。フランシス・マクドーマンドのマクベス夫人もシンプルに「怖いカミさん」やり切ってる。演劇的となると役者の魅力が肝だが、その点では満足度高い。魔女を演じたキャスリン・ハンターが最高に「ヤバいババア」やってる。『蜘蛛巣城』だって浪花千栄子のババアっぷりが何より凄かったし。『マクベス』はそこデカいよな。今回もコーエン兄弟お馴染みの「すっとぼけた殺し屋」が出て来るのは笑った。
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