[] 60点
クセ強めな監督たちのアク抜きが上手いA24が今回組んだのはジョエル・コーエンである。原作未読だが、台詞の回りくどさから考えるにほぼ忠実に作られているんだろう。モノクロ撮影、シンプルで絵画的なセットなどを用いて一つ一つのショットを幻惑的に仕上げているが、あまりにもあざとすぎるので少々胃もたれがするのも事実(デ・キリコっぽい回廊とか好きなんだけどなあ)。予告編を見た段階で全体がほぼ予想できてしまう程度の小綺麗さを見せられても、綺麗ですねとしか言いようがないし、そんなものに狂気など宿らないと思うが…予告編を見たときは『マルケータ・ラザロヴァ』っぽいなと思ったが、全然違った。同作はもっと振り切れてて、かつ神話に近いエネルギーがある。魔女の魔女然とした感じと森が動いたのを見せずに窓を開けて大量の枯葉が舞い込んできたシーンは良い。というか、そもそも自分の中での『マクベス』関連作品は『未必のマクベス』しか認めてないので、他はどれだけ観ても特に惹かれない。
