炭酸煎餅

聖闘士星矢 The Beginningの炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)
4.1
事前に流れてた情報で、んーこれがペガサスの聖衣なの……?とか、なんか知ってる立場に知らん名前の人がおる……?とかで困惑しきりだったんですが、一体これどうなってるんだろう?と思いながら観に行ってみたら"The Beginning"という邦題通り、非常に丁寧に作り込まれた「聖闘士星矢・序章」でした。
(なお名前の件は"Knights of The Zodiac"の原題通り、原作・アニメの北米版でのキャラ名がそれという事だったみたいです。まあ考えたら実際、今回のあの見た目で沙織とか城戸光政とか言われても逆に困りますよね……)

もはや全体からすると最序盤過ぎて色々印象も薄れていて、そもそもジャンプ漫画という"ジャンル"の本題的にもそれほどページ数が割かれていた訳でもない導入部分を深掘り&アレンジして描き込み、あーそういえば最初の沙織ってなんか高慢でいけ好かない感じだったよな……とか、そうだ一輝って登場当初は完全に「悪役」ポジションだったんだよな……とか振り返らせつつも新たなドラマを構成し、あるヒーローとヒロインの誕生譚を描く一本の映画としてリブートした作品になっていたと思います。
(多分ごく一部にしか通じない上に適当かどうかすらも分からない言い方をすると、「説明やキャラの掘り下げをきちんとやってドラマも描いたモータルコンバット(2021)」なんですよね)

ただその代わり、マジで序章も序章なのでこれからどういう敵が現れるのかとか、紫龍、氷河、瞬といった仲間たちの登場はおあずけ。(展開的にギャラクシーウォーズはやんなさそうかな?という雰囲気はありますが)
とりあえず物語はここはここで一区切りつきながらも続きが観たい畳み方になっていたと思いますので、出来たら続編も制作してほしいなという気持ちになりました。

まあ細かい事を言えば「ペガサス流星拳」は一回くらいは言わせられんかったかなとか、進化後の聖衣でも装着シークエンスをやってほしかったとか、どうせ真剣佑の顔見せたいんだろうからキャシャーンマスクは要らんかったんちゃうかとか、別に不満が無いわけではないんですが、無いかと思ってた聖衣の箱からの展開やオブジェ形態的フォームがちゃんとあったり、一輝(ネロ)が鳳凰幻魔拳的な技をきっちり使ったり、設定の根幹である聖闘士の破壊力の理屈を説明するセリフや星矢が力を身に付けていく修行の様子がほぼ原作そのままだったり、さらに鋼鉄聖闘士要素まで拾ってくるこだわりを見せられると「まあ別にだからどうって程でもないしな……」と思わざるを得ないのも確かだったりします。

それにしてもこの製作者、どう見ても辰巳とカシオスが好き過ぎでしょw
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