とむ

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのとむのレビュー・感想・評価

4.0
観終わった後、自然と涙が溢れてた。

任天堂のゲーム、特にマリオ、ゼルダ、ポケモンシリーズに関しては「一緒に育った」と形容しても概ね言い過ぎでは無いくらいにはプレイしてきた自負があるけど、
ここ最近は仕事も忙しかったり、なんとなくゲーム自体に対する興味も前よりは希薄になってしまって、実況動画やプレイ動画で内容を補完してしまっている自分の存在も自覚しつつ、それも成長かもなと半ば諦めに近い感覚を抱えていた。

なので、マリオが映画化するって情報を受けて、「なんとなく観に行くか、キッズムービーくらいのクオリティかな〜」くらいに思っていたのですが…
まいった、とんでもない。
まごう事なきマニア向け…
いや、ライト層からコアな層まで軒並み網羅する圧倒的ファンムービーだった。


散りばめられた小ネタの量も尋常じゃなく、
怒涛の様に押し寄せるので思い出せないものも多いけど、
随所に入る横スクロールを意識したカメラワークから始まり、
ベビィマリオ&ルイージ、
ゲームキューブ起動音の着メロ、
みんなのトラウマ、64の巨大ウツボ、
一瞬のカットだけどディディコング、
ドンキー登場時のドンキー64ラップ、
ボムキング、チコのクスクス笑いetc…
とにかく小ネタの土石流。
情報の密度のことを考えると「90分」という尺選びも英断だったと思います。
(あと、冒頭でマリオに喋りかけるおじさんの吹替版の声色が明らかにゲーム版マリオを意識した喋り方だったので「もしかして字幕版だと本家の人が声当ててるのかな…?」と個人的に思ってたら本当にそうらしいですね笑)


ストーリーに関しても秀逸で、
ピーチとの訓練シーンで暗に示される「クッパを倒した後」に迫り来るとある描写だったり、ピーチのキャラクターが予告見た感じだけだとか弱い女性像を嫌った製作陣が「闘う女」感を強調しちゃったのかな?と思ったけど、その辺の塩梅も嫌味を感じさせず、抜け目ない。
この辺は流石「SING」のイルミネーションスタジオだなぁと。
(余談ですが、イルミネーションスタジオの映画ってどうにもキャラデザが好きじゃなかったんですけど、今作はスーパーマリオのデザインを大きく損なう様な改変はしてないので、そこも間違いなかったですね)


と、数々の「マリオ愛」溢れるストーリーに僕の心は幼少から青年にかけて全てのペルソナが一堂に介した、いわば自分同窓会状態でそんなもん楽しくないわけないだろう!と原因不明の涙が溢れる始末。
今はもう積極的に遊ぶことも少なくなってしまったけど、そこで培われた思い出はずっと心に残ってるんだっていう、いわばマリオから見ての僕は「トイストーリー3」におけるアンディの立ち位置であることを自覚させられました。

今回はIMAX3D吹き替え版を鑑賞しましたが、各所で発表されている記事を見る限り、単純な和訳・英訳に留まらない演出を凝らしているそうなので、字幕版も見てみたくなりました。
吹替版で言うと、結構癖のあるお芝居をする印象が強い宮野真守氏がかなり抑えめの、というより当人の「アメリカンコメディアン」的な素養を遺憾無く発揮していてそこも素晴らしかったですね。
あと絶妙な頼りなさ、絶妙な可愛らしさ、そして絶妙な優しさを体現するかの様な畠中祐氏によるルイージの声も素晴らしかった!


宮本茂氏が携わったのも納得の仕上がりで、
ホントに楽しい時間を過ごせました。
冒頭でほぼゲーム自体をプレイすること自体が少なくなってきたと書きましたが、
それでも時々プレイすると、スーパーマリオオデッセイのカーニバル演出や、ゼルダの伝説のBoWで「こんなことさせてくれんの!?」という童心に帰る様なワクワクを体験させてくれるのですが、今作においてもその「遊び心」は健在でやっぱり僕らの任天堂は流石だなって思い知らされました。

批評家云々の話もあるけど、
あれはディズニー作品見たことない人がディズニーランドに行って「ディズニー作品好きな人じゃないと楽しめない身内ノリのテーマパーク」って評してるのと同じだから、
気にせず「身内ノリ」で楽しめば良いんすよ!
(そもそも現代において完全なる「マリオ門外漢」ってもはやありえない様な気もするけどね…笑)

1コだけ不満があるとしたら、
冒頭でアレだけ犬にまつわるドタバタ劇を繰り広げたならワンワンは出さなきゃダメでしょ〜〜〜!!!
絶対出るよコレ…って楽しみにしてたのに!!


ラストの「おまけ」を見ても続編があることを意識した作りなのでもちろん作って欲しいけど、LoL原作の「アーケイン」みたく、ゼルダのCGドラマ版みたいな作品も見てみたいな〜なんて思ったり。
とむ

とむ