柿トマト

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーの柿トマトのレビュー・感想・評価

2.0
ゲームの映画化としては満点だとしても、映画としてはどうなの?

この映画は、ゲームの映画化としては非常に成功しているものの、映画としての完成度には疑問が残る。確かに、マリオを始めとするゲームのキャラクターたちは、CG技術を駆使して非常にリアルかつ魅力的に表現されており、観客からの支持も高い。しかしそれだけで映画の良し悪しを決めるわけにはいかない。

この映画には、ストーリーやメッセージ性など、映画としての基本的な要素が欠けている。ゲームをプレイした人たちには、懐かしい感覚やゲームのギミックが映画内に登場することで喜びを感じるかもしれないが、映画を面白さとはそういうことはではないのでは?

それに、クリエイターたちは、キャラクターやゲーム的ギミックを登場させることに注力しているが、物語やメッセージには意識が及んでいないようだ。

ただし、メッセージがない映画であれば、それ自体は問題ではない。しかし、この映画は不快で高慢な展開があり、それが擁護できない部分がある。例えば、キノコ王国がクッパ軍団に侵攻されている際、ピーチ姫が主体となって作戦会議を開いている最中、1人のピノキオが「『カワイイから』戦えない」と言うシーンがある。このシーンは、現に他国が攻めてきているウクライナを考えれば非常に無神経であり、腑に落ちないものがある。また、このシーンをギャグとして済ませようとする手法にも問題がある。

子供向けであるという理由でこんな不快な展開を許容するわけにはいかない。評論家たちも、この点についてもっと言及することが必要である(自分が知らないだけかもだが)。

ある程度子供向けは予想していたが、不快な要素まであるとは聞いてない。良識ある人間なら低評価をつける必要があると言える。
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