社会のダストダス

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

5.0
『マリオカート 怒りのレインボーデスロード』を観てきました。あの行って帰ってくるだけの名作を任天堂とイルミネーションのタッグで大胆にリメイク。まさかレインボーロードでマッドマックスする映画だとは思わなかったので、昔、友達とやったマリオカート64でショートカットしまくってリアルファイトに発展しかけた思い出がフラッシュバックした。

本作といい、ちょっと前の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』といい、ゲーム作品の映画化が始まり過ぎている。これももしかしたら10年前ならコケてたかもしれない作品だけど、ハリウッドでほぼディズニーが支配していたアニメ作品、既存の大作シリーズ作品の出がらし感が募り始めたこと、これまで良作が少なかったゲーム原作に期待される伸びしろなど、色々な追い風が吹き始めているような気がする。

英語音声・日本語字幕版鑑賞。洋画とはいえ日本発のコンテンツなので、どちらで観ても良かったが、英語キャストの強さに惹かれてこちらを選択。崇拝する愛しのアニャ様がピーチ姫の声をあてていると知り、これはキノコ王国への移住を検討しなければならないだろうと。もうアニャピーチがカッコ可愛すぎて私の心は今、ハートとキノコとスターで満たされている。はわわ~、アニャたま~😻🍄⭐️💕💫🤪

アニャ様は声だけでもカリスマがほとばしっておられるわ、それまでの頭お花畑のピーチ姫のイメージとは異なり、もはやただのアニャ様ではあるのだが。クリス・プラットのマリオも思った以上に普通のクリス・プラットだけど、某ガーディアンズで染みついた諦めの悪さはマリオのキャラクターとゲーム性にマッチする。そしてジャック・ブラックのクッパが本当に良かった、クッパ様のピーチ姫に対する届かぬ想い、純愛を歌い上げた魂のバラードは、私のアニャ様に対する思慕とも重なるものがあり共感で胸が張り裂けそうになった。

世界で一番有名なゲームキャラクターの頭のイメージの中にしか存在しなかった姿がそこにあった。ゲームにおいて、マリオ自身が喋る作品はほとんどなく、それだけでも興味をそそられるものがある。スーパーマリオ、マリオカート、マリオパーティ、スマブラなど、いろんなゲームに主演するミスター・ビデオゲームは陽気なキャラ付けながら、無口なヒゲとして扱われてきた。マリオ(とルイージ)は本作では現実のニューヨークからキノコ王国にやってきた普通の人間、当然大きなカルチャーショックを受けることになる。

アイテムとして入手したキノコをどのように使用していたのかという長年の謎も判明、経口摂取だった。本作では過剰に摂取して吐いているシーンも存在する、最近リバースする映画ばかり観ているがまさかマリオまで…。マリオがキノコ嫌いだというのは知らなかったのでちょっと驚いた、原作にもこの設定はあるのかな。仮にアレルギー持ちだったらキノコ王国での生活は地獄を極めることになりそうだ。そして衝撃だったのはピーチ姫の基本スペックがデフォルトの状態でスーパーなマリオ以上であるということ、正直言ってマリオを連れていくことに戦略的価値がないくらい。今後クッパ様は誘拐を成功させることが出来るように応援したい。

90分というかなりコンパクトな尺でまとまっているが、原作再現を徹底しながらも本作はやり過ぎない範囲に留めていたように思う。人気キャラクターをたくさん出すことも、ストーリーを長くすることも出来ただろうけど、長い目で見てシリーズのプラットフォームになるような作品を作ったのだと思う。既に人間の世界とキノコ王国が描かれて、他にも異なる宇宙があることが示唆されている。本作の今の成功なら『星のカービー』や『ゼルダの伝説』が作られてもおかしくないので、将来的には『大乱闘スマッシュブラザーズ』がアベンジャーズ的な総括作品として実現することも夢に見れそう。ゲーム好きとしては長生きして見届けないといけない。