よーだ育休中

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

3.5
ブルックリンで配管工を営む双子の兄弟マリオとルイージは、市街地で発生した大規模な漏水事故の修理中に、地下の古い土管に吸い込まれる。キノコ王国に飛ばされた兄のマリオは、弟のルイージが恐ろしいクッパの支配するダークランドに飛ばされてしまったことを知る。マリオは助力を求めて王国のピーチ姫に謁見するが、彼女も迫り来るクッパを迎え撃たんと戦支度を整えている所だった。


◆ Here we go!!

日本を代表するビデオゲーム『スーパーマリオ』シリーズを任天堂とIlluminationが共同で制作し映像化。スーパーファミコンを経て64に移行した世代なので、『マリオ』も『ドンキーコング』も小学生になる前から慣れ親しんだキャラクターでした。

洋画は字幕で鑑賞したい派ですが、今作は日本にルーツを持つキャラクターを題材にしたアニメ映画だったので、吹き替えで鑑賞することに。どのみちゲームで聞き馴染みのあるキャラの声で無いことは分かりきっていましたし、日本の声優陣のクオリティが高いことも承知済。『芸能人枠』の起用が無いことも確認の上で臨みましたが、違和感なく楽しめました。

何より良かったのはクッパ役を演じた三宅健太さん。メインを張るというよりは、どちらかというと脇を固めるキャラに起用されることが多い声優さんだと認識していますが、クッパの美声を見事に披露していました。『ピーチ♪ピーチ♪ピーチピーチピーチ♪』のメロディがしばらく耳に残ります。

「クッパってこんなキャラなの!?」とコミカルすぎるヴィランっぷりにちょっと困惑しましたが、よくよく思い返してみるとクッパってゲームでもマリオに直筆の手紙を送っちゃったり、その手紙の文面に「がーっはっはっは」って笑い声を書いちゃうようなお茶目さんでした。


◆ Mamma mia!!

任天堂とIlluminationがコラボした作品だけあって、Illuminationっぽさを感じる部分も随所に見受けられました。マリオブラザーズがブルックリンで配管工の初仕事を引き受けたシーンは、ビジュアルも動き方もさながら『ペット』のワンシーン。舞台もブルックリンとマンハッタンなので近いですね。

人間のキャラ(特にピーチ姫)はIllumination作品に登場するキャラクターのような特徴を持つ造形になっていました。クオリティが高くてとても良かったです。

ピーチ姫といえば、ビジュアルがIllumination風にアレンジされていただけでなく、内面も今時の『戦うお姫様』にアップグレードされていました。マリオを鍛えるシーンは疾走感溢れるアクションでステージを駆け巡り、キラーを踏みつけジャンプしてあっという間にクリア。クッパのハリボテを粉砕するシーンは飛び蹴りじゃなくてヒップアタック(ピーチボンバー)にして欲しかったけど、かなりクオリティが高いものを見せて貰ったので贅沢は言いますまい。


◆ It's-a Me, Mario!!

マリオがブルックリンの配管工であるという設定が公式のものか定かではありませんが、移民の街であるブルックリンやクイーンズを舞台に四苦八苦する(家族の会話や、元同僚の発言に社会的に恵まれていない様子を示唆する内容もありました。)イタリア系アメリカ人の設定に違和感はありませんでした。ルイージがビビりなのは公式通り。

冒頭から横スクロールのゲーム画面を意識したような演出が多用されているのは嬉しい。マリオカート(レインボーロードやトゲゾー甲羅まで)、ドンキーコング(音楽から初期のアーケードゲームを意識したような作りの闘技場まで)を中心に、スーパーマリオシリーズの世界観が映像化されていました。細かいキャラクターやアイテムなど小ネタがふんだんに使用されているのも面白かった。ブルックリンでマリオがプレイしてたのは『パルテナの鏡』ですよね?

我々の世界から異世界へと迷い込んでしまう所、ラスボスを現実世界で倒す所などは2020年に映画化された日本発の人気ゲーム『モンスターハンター』と被る部分がありました。が、クオリティは此方の方が高かったと思います。


・・・映画鑑賞後、トンガリキッズの『B-DASH(Ver.HANGOE)』を聞きたくなったのは僕だけじゃないはず。