Hiroki

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのHirokiのレビュー・感想・評価

4.0
いよいよ12月になるので今年観た中でレビュー書けてないものを中心に書こうと思うのだが、全部は無理だろうな...

まずは言わずと知れた2023年の興収No.1の今作!なんと140億円。
これ日本の話です。
日本で日本製作のアニメ以外(一応任天堂が権利をもっているが非日本語作品という意味で)がNo.1になるのっていつぶりなのだろうか。(調べたら2018年の『ボヘミアン・ラプソディ』以来。)
今後の公開予定作品を考慮してもNo.1は間違いないと思う。
ちなみに公開日で考えると今年は今作とコナン(約138億円で初の100億円超え!)の2本しか100億円を超える映画は無かった。
ちなみに2022年は5本だったので少なく感じるけど例年に比べるとまーそのくらいかな。昨年が異常だっただけで。
さらに北米で約5.7億ドル(約840億円)で2位、全世界でも約13.6億ドル(約2,000億円)で2位と完全に2023を代表する映画の1本となりました。

今作は任天堂が出資&製作/ユニバーサル・ピクチャーズが出資&配給/イルミネーションが製作と三位一体構造で作られたのだが、実は元々の計画ではソニー・ピクチャーズが権利を獲得するはずだった。
しかし2014年のソニー・ピクチャーズハッキング事件やソニー・コンピュータエンタテインメント(PS)との競合状況などから立ち消えになり、代わりに当時スーパー・ニンテンドー・ワールドを共同で開発していたユニバーサルからイルミネーションのCEOクリス・メレダンドリを紹介される形でこの3者の座組に決定した。

私は映画館で英語verを観て、先日友達の子供が観るという場に居合わせて日本語verも観たのだが、これ脚本がけっこう違う。
映像は同じなのでもちろん劇的な違いはないけど。
セリフ回しにかなり強いこだわりがあるらしく、日本語脚本にわざわざ劇団ヨーロッパ企画の上田誠を起用するほど。
そもそも同じゲームでも海外だとキャラクターの名前が違ったりするので懸命な判断。(欧米でクッパは“バウザー”=番犬の意味、クッパはノコノコやそれに付随するカメ一族の総称として使用。ちなみに『ストリートファイター』シリーズでお馴染みの四天王に関して欧米ではバイソンは“バルログ”、バルログは“ベガ”、ベガは“バイソン”というカオス状態が起きている。これはバイソンが明らかにマイク・タイソンからインスピレーションされたキャラで肖像権の問題があったり、ベガは欧米では女性の名前に多く容姿的に日本版のベガよりバルログの方が合うなど総合的な判断から入れ替えたと言われている。)

ここまで長くなりましたが、内容はというとほぼありません!
これ92分間のジェットコースタームービーでほぼずっと展開があって、1つを深く掘り下げるわけではなく、どんどん先へ先へと進んでいく。
まー要はこれ“ゲーム”なんですよね。
一部の特殊なゲームを除いた大半のゲームっていちいちキャラクターのバックグラウンドとか掘り下げないじゃないですか?
今作でも少しだけプリンセス・ピーチ(CV: アニャ・テイラー=ジョイ)の過去が語られるシーンがあるけど、すぐに次に展開する。
つまりそーいう事を目的としていない。
ただただ喜怒哀楽の怒涛の展開が繰り返される。
でもその強度が凄い!
イルミネーションのアニメーションももちろん、マリオというIPを活かした音楽、ドンキーコングやチコなどお馴染みのキャラクター、マリオカートなどの派生作品の利用などなど任天堂の強みを最大限に詰め込んでいる。
だからこそ最強のファミリームービーであり、ポップコーンムービーなんだと思う。

個人的には知らない事もたくさんあって、マリオ(CV:クリス・プラット)って配管工だったんだーとか。
イタリア系のアメリカ人なんだとか。
あとマリオがプリンセス・ピーチを助ける物語だと思ったら、ルイージ(CV: チャーリー・デイ)を助ける物語だったり。
もちろん現代や映画化に合わせてブラッシュアップしている部分もあると思いますが。

本国キャストに関してはゲーム版のオリジナルキャストやマリオ&ルイージをイタリア系にしなかった事で批判があったみたいだけど、これだけ豪華なキャストを集められた事が凄いと単純に感じた。
特に個人的1番のハイライトだったピーチへの愛を歌うクッパのジャック・ブラックが最高すぎる!
ドンキーコングのセス・ローゲンも素晴らしかった。

今作の大成功により任天堂の自社IPを使った映画シリーズ化が加速していくと思われる中で、先日『ゼルダの伝説』のアニメ映画化が発表に。
ただこれ気になるのが今度はソニー・ピクチャーズとの共同出資な事。今作の大きな魚を逃したソニーだけになんとしてもの気持ちがあったのだと思うけど。
ゆくゆくはシェアード・ユニバースでスマブラ的映画フランチャイズにしていくように感じるけど、共同製作&配給会社が違うとややこしくなる気が...
どちらも基本的な権利は任天堂にあるみたいなので問題ないのかもしれない。
今や日本が世界と戦える唯一くらいのエンタメブランドなので、上手くハンドリングしつつ大きく育てて欲しいなーと思います。

2023-62
Hiroki

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