YukiSano

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのYukiSanoのレビュー・感想・評価

4.2
メタを超えて自分と重なる映画として至高の娯楽ムービー。

2023年を代表する超ヒット作。
バービーとスーパーマリオだけが10億ドル超えを達成した。2つの映画の共通点は異世界お仕事ものであること。

バービーは、「あちら」の世界から「こちら」にやって来ることで溶け合う話。翻ってマリオは「こちら」から「あちら」に向かう話。そしてスーパーに進化する。

両方とも巨大な企業ムービーなのに、とことん上手に自社製品のIPを使って社会現象を起こした。

バービーは社会的メッセージを携えた見事な脚本だったが、こちらのマリオは社会性は ほとんどなし。だが、だからこそ純粋に超娯楽映画として成立。説教くさい堅苦しいテーマを全排除した。おかげで身軽で優雅なマリオの飛翔が純粋に個人のの成長譚として見れられた。

ただのブルックリンの低所得者配管工のホワイトトラッシュなマリオとルイージという設定が最初は重めに感じるがラストに近付くに連れて効果を上げてくる。

やがて、マリオが本当の意味でスーパーに進化する時に一度でもスーパーマリオシリーズをやったことのある者なら感じたカタルシスに昇華され、ついにマリオと一心同体となる。

今まで丹念に仕込まれた負け犬設定が輝き出し、シンクロした我々はスーパーマリオとなって人生を飛び立つ。余計なテーマは何もなく、ただの個人として飛翔する。

それは全ての国の全ての人が楽しんできたからこそ成せる技。バービーとは逆で出自も社会的背景も背負ってないからこその身軽な立ち位置。とちらが優れてるかというより、IPの持つ個性を最大限活かした結果、辿り着いた答え。

スーパーヒーロー疲れの激しいアメリカで、再び1から組み立てられたスーパーなキャラクター。

全ての純粋な子ども達に捧げられた娯楽ムービーとして大変楽しめました。
YukiSano

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