真田ピロシキ

夜を越える旅の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

夜を越える旅(2021年製作の映画)
3.0
U-NEXTポイントがどんどん溜まって消化に探したら説明文に佐賀県を舞台にしたロードムービーというのが目についた。私は佐賀生まれで人生の30年くらいは佐賀。今も大体週一で少しの時間行く。しかし困ったね。先に概要を調べたら唐津や有田が主な舞台とのこと。佐賀市の人間だったのでそこら辺はさほど明るくない。唐突に出てきた福岡の大野城の方が馴染み深い。

もっと困ったことには凄く地味な映画。アート志向の映画は好きだが、これの場合変化のない長いカットが多く、役者は素人じゃないだろうが華を感じられずボソボソ喋り。さらに主人公が描いてる漫画と同じ不条理ホラー。その上にロケ地に馴染みもなければ眠くなり、実際たまに寝てた。やはり佐賀ならゾンビじゃないといかんのだ。ゾンビのアイドルが佐賀アリーナを埋めるんじゃーい。

などと言いつつも不思議にダメな映画とも感じなかった。時々退屈さに寝ながらも理解することを放棄して画面を見つめていると妙な味わいを覚える。シャイニングの庭のような有田ポーセリングパークだとか『来る』のような除霊やその前の除霊師のオフビートな雰囲気。頭を鷲掴みしてドワアッと異界に引き摺り込むコミカルさ。自殺した女の人も目がアニメみたいに大きく開いていて、異質な感じは強く出てて不穏さは確かにある。何の映画を見てるかよう分からないが、『犬鳴村』なんかと違いちゃんと現地で撮り、当たり障りのない観光PRみたいなのではなくこんな佐賀県民が困惑するのを作ったのは好き。